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徒然なるままに、

溜まったオモイのはけぐち。

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 夏がやってきました。実は先行体験に当選しまして7月1日、行ってました。最高でした。泣きました。ショーについてはまた今度、ゆっくり書くとして今回はCMパロです。たまたま見つけた外国のCM.すぐさまゾロとサンジに脳内変換されました。って言ってもCP要素はないに等しいです。前回更新したなんとも暗いお話は、暗すぎて、まだ完成しておりません・・・。
 
「与える」
 
 埃っぽい、雑然とした路地。密集した露店には申し訳程度に光が差し込んでいた。客を呼び込む商売人たちには気にも留めない様子で、そこの住人達は必要なものだけを手に取っている。すると突然、陽にこんがりやけた男の子が道端に放り出された。ぶわっ、と乾いた砂埃が舞い、怪訝な視線が集まる。突き飛ばされたように倒れこんだ男の子は口許を歪ませ、その場に倒れこんだままだった。小さな右手には茶色い瓶がぎゅっと握られている。
「立ちな泥棒! 」
 肉付きの良い中年の女性が勢いよく男の子と同じ露店から出てくると、興奮したように甲高い声で言った。細い腕を乱暴に掴み、無理矢理立たせると下を向く男の子のおでこを掌で押した。男の子はよろめきながら一歩後ずさった。
 周りの野次馬は面白いもんを見たとひそひそ話している。その状況が余計、女性に拍車をかけた。
「お前うちのもんをとったね?何を盗ったのさ!」
 男の子から盗られた瓶を奪い返すとカラン、と音が鳴った。男の子は取り返そうとはせず、下を向き続けている。
「これで何するつもりだったんだい?」
 そう女性が言い放つと、男の子は下唇を噛みしめて行き場のなくした右手でズボンのすそを握りしめた。言いなよっ!と女性はさっきより強く男の子の頭を、こちらを向けと叩いた。男の子はなおも裸足の自分の足を見つめながら振り絞るように、母ちゃんに、と言った。
「そんな嘘信じるもんかい!この泥棒!」
「ちょっと待ちな!」
 女性が大きく振りかぶった左手は空中で止まった。続けて後ろの方で金髪の男の子がジジイ!と叫んだ。しかし、それを無視して片足の男は義足をうまく使いながら二人のもとへずんずんと向かっていく。
「まあまあ待て。」
「でもゼフ!こいつったらうちの商品を盗りやがったんだ!」
「そうだぞ、泥棒だ。」
「だろ?サンジだってそう言ってるじゃないか。」
 いつのまにかゼフのすぐそばまで来ていたサンジが申し訳なさそうに、ゼフを見上げた。傷だらけの大きな掌でサンジの頭を一度撫でると、続けていまだ下を向き続けている男の子をじっと見つめた。
「お母さんは、病気なのか?」
 うまくしゃがむことのできないゼフは少しかがんで静かに問うた。男の子は一瞬の間の後、小さくうなずいた。
「サンジ、野菜スープとってこい。」
 言われたサンジはいかにも不満だとでもいうようにため息をつくと、スープをとりに家に姿を消した。ゼフはポケットに入れていたくしゃくしゃの紙幣を何枚か取り出し、女性に渡すと茶色の瓶と交換した。もうするんじゃないよ、と人差し指を男の子に突き出した女性は紙幣を握りしめて店に戻った。
 大股で口をへの字にまげたサンジは野菜スープのはいった袋をゼフに渡した。そこに茶色の瓶をいれると、何を言うでもなく男の子に差し出した。敵意を見せるように斜めにゼフを見上げた男の子は刹那、大声で泣き叫んでしまうかのように眉間にしわをよせると袋を奪って走って行った。
「なんであんなやつに。」
「てめェもいつか分かる。さて、飯にするぞ。」
 サンジは母親の元に急ぐ、緑の髪の少年の後姿を見つめていた。


**


「おいジジイ!また来たぞー」
 咥えたばこをしながらフライパンを握っているサンジは店の前に立つ男をあごでさしながら言った。いかにも飢えて困っているという風貌の男はゼフから差し出されたチャーハンを受け取ると手を合わせ去っていった。うちは寺かなんかか?と、吐き出したサンジは、しかしまんざらでもないように微笑んでいる。まるで、そのチャーハンはクソうめェんだぞ。とでも言いたげに。
「まだいんのか?火とめんぞ。」
 サンジが店先に出ると、ゼフは微動だにせずその場に立っていた。あ、どしたんだよ?と、サンジがゼフの肩に手をかけようとしたとき、バタン!という大きな音がなった。目の前にいたゼフの姿が、消えた。
「え、」
 突然のことすぎて、理解が追いつかなった。ゼフが倒れた拍子にぶつかった棚からは調味料が散乱し、大きな音をたてた。
「おいジジイ!しっかりしろ、おい!」

 すぐに病院に行くと、説明もなしに手術室に運ばれた。病室に戻ってからも意識が戻ることはなく、ただ人工呼吸器を通した虚しい呼吸音だけが響いた。これからは、一人で店を守らないといけない。ジジイが良くなって店に戻ってきたときには俺の腕を認めさせてやる。現状を前向きに捉えようと必死だったサンジに、看護婦が一枚の紙を手渡した。
「え、こんなに・・・?」
 現実はそんなに甘くはなかった。手術代、入院費、これからの治療費。それは今の経済状況ではとても払えない額の明細書だった。いつまで続くか分からない入院や、これからのことを考えるともうこれしか思いつかなかった。まとまった金が要る。料理なんて店じゃなくても、いつでもどこでもできる。

 サンジはゼフの店を売りに出した。

「んん・・・、」
 寝てしまっていたらしいサンジは薄暗い病室でいまだ目をあけないゼフの顔を見つめた。
「早く目ェ覚ませクソジジイ」
 ぽつりと言った言葉に返事はなく、ただ泣きたくなった。するとゼフの枕元に見慣れない紙が一枚置かれていた。そっと手に取り、わずかに明かりをつけ読むとそれは以前にも見た明細書だった。
「なんだ、これ」
 手術代、入院費、治療費、すべてが無料になっていた。意味が分からない、誰かの悪戯かと思ったサンジは二枚目があることに気づいた。そこに書かれていた文章にサンジは、やられた、と天井を仰いだ。右手で目許を覆って、へっ、と笑った。
 もう一度その紙をゆっくりと見返す。

 すべての費用は20年前に支払い済み。
 一つの錠剤瓶と、一袋の温かい野菜スープによって
 心からの敬意を、Dr.ロロノア・ゾロ

「クソ泥棒め」
 薄いドア越しにサンジの声を聞くと、ゾロはかっこつけすぎたかと不器用に頭を掻いた。


 
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2015.07.09 15:01 | SS | トラックバック(-) | コメント(0) |












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