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徒然なるままに、

溜まったオモイのはけぐち。

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処女作。こんなのゾロじゃないよね!
分かってるけど、私こんなのが好きみたい。

海賊SS まだ、夫婦感はないです。はい。
その、ふと見せる表情に。
いつか簡単に消えてなくなってしまうのではないかと思った。


「不器用な男」


久々の敵襲。膨大な数の質の悪いチンピラ達。しかし麦わらの一味にとっては脅威ではない。ルフィは一人、敵船に突っ込み敵を蹴散らしていた。そんな中、漏れ出た敵がサニー号に乗り込んできた。
「ったく…」
コックは呆れたようにため息をつくと、俺一人で十分だから、みんな中に入ってゆっくりしてろ。と言った。
「さすがサンジくん。」
中で待ってるわね。と、言ったナミに待っててねぇ、ナミすゎんっ、とハートを散らして答えたあといつものように敵を蹴り散らしていた。こいつの言うことをすんなり聞いて、見ているだけなのは癪に障る。最近、実践的に刀を振るうことがなかったこともあり、コックの言葉は無視して敵に突っ込んだ。しかし、いつものようなヤジがとんでくることがない。おもしろくねェなと、思った。

もうあと少しで片付く。コックの方も終わるだろうと視線を巡らせると一人の男に銃を向けられていた。身動きしないコックを気にしつつ目の前の敵を切り捨てる。自分の役目が終わり、何かっこつけて立ってんだ。さっさと終わらせろ!と、叫ぼうとした瞬間。

ぱんっ!と銃声が響いた。
金属と金属のかちあう音。
「──失せろ。」
銃を持つ男に一言だけ伝えると、震える足で海に飛び込み自船へと向かった。後ろでがさっ、と布の擦れる音。スーツのポケットからタバコを取り出そうとしているらしい。そちらに向き直り、一歩距離を詰める。手を伸ばせば届く距離。しかし、続けてもう一歩を踏み出すことができなかった。

「…てめェ、死にてぇのか。」
「──いや」

マストに腰を預け、俯いたコックの顔は長い前髪に隠れ、口元しか見えない。薄い唇が微かに動き、言葉を紡ごうと息を吸う。しかし、それが音になって伝わることはなかった。ふっ、と短い息を吐き、慣れた手つきでタバコを咥える。
もし、俺が弾の軌道を変えなければ。こいつは避けないと直感がそう告げた。だから、柄にもなく助けるなんてマネをしてしまった。というより、考えるより先に体が勝手に動いていた。
「なぜ避けなかった。」
「銃を蹴りとばそうとしたらお前が邪魔したんだよクソ野郎。」

ぎり、と咥えたタバコを噛みしめる。吐き捨てた言葉が本当なのか、嘘なのか。その真意を図ろうと前髪の隙間から見えた目に、心臓がとくりと強く脈打った。

ふとした瞬間に見せる感情のない、目。

その、澄んだ冷たいあおいろの目を見るといても立ってもいられなくなるような、そんな気持ちになる。心がざわついて、その目から離れられない。自分の修行が足りないからだと思ったこともあった。しかし、どれだけ修行を積んでも、どれだけ同じ時間を過ごしていても。その目を見た途端に胸がぐっ、と鷲掴みにされたような気持ちになる。
でも、どうすればいいのか分からない。我ながら、らしくないぐるぐる巻いた思考回路がうっとうしい。
「ルフィを迎えに行ってくる。お前は来んなよ。迷子になったら困るからな。」
「うるせェ。」

ルフィと共に戻ってきたコックを見届けて、俺は意識を手放した。目を覚ます頃には、晩飯ができたと楽しそうに笑っているに違いない。


───
─────


夜の海。昼の喧騒が嘘のように穏やかな波に揺られている。こんな日に見張りが必要なのかと疑問に思うが、トレーニングをしながらできるため、口には出さない。
見えない水平線を見つめる。海と空の区別がつかない闇が広がっていた。
別に何かしなければいけないと思った訳ではない。ただ、じっとしていられなかっただけで。気づけばひっそりと灯りをつけているキッチンへと向かっていた。

「酒ならさっき渡しただろ。今日はもう終いだ。」
明日の朝食になるのだろう食材を目の前に、さっさと出て行けと言わんばかりの静かな牽制。
「酒はもういらねェ。」
「ならなんだ?つまみか?」
「いや、」
「なに、ヤりてェの?それなら後にしてくれ。明日の仕込みがまだ終わってねェから。あ、それと風呂入っとけよ。じゃないとヤらねェ。」
こちらを見向きもせず饒舌な男。その背中に苛立ちを感じた。静かにその背中に歩み寄る。全く気にする素振りを見せないコックの肩を掴みこちらを向かせ、ぐっと距離を詰める。
「邪魔すんな。後でっつってんだろ」
「もう、黙れ。」

冷たい唇に、触れるだけのキス。
その冷たさにぞっとした。
ちゅっ、とリップ音をならしてゆっくりと名残惜しげに離す。その一瞬、コックの目が苦しそうに揺れた。
「なに…、ヤるならあとでって」
「違う」
「は、なに。」
コックは努めて感情のないような声色で言った。それを暴きたくて、肩に置いていた手を背中に回し、両腕で抱きしめた。脆く、危ういこいつを潰してしまわないように。でも、少しでもあたたかくなればいいと、力を込めて。
「別に、ヤりてェわけじゃねえ。ただ、こうしなきゃいけねェ気がしただけだ。」
抵抗せず、軽く腕の中に収まったコックはクソッ…と呟いた。聞こえたその言葉になんだと聞き返す。
「…こんな柄じゃ、ねえだろ。」
耳元で聞こえた小さな声は、震えているような気がした。
「あぁ、そうだな。」
言うと、コックは息を殺し、こつんと額を肩に預けた。背に回した手はいつの間にかぎゅっと深緑の布を掴んでいる。
「本気で死にてえ訳ねェだろ。」
「そうだな。」
「蹴り飛ばそうとしたらてめェが邪魔した。」
「悪かった。」
ふぅ、と生温かい吐息が肩口にあたる。続けてくぐもった声が聞こえた。
「ただ、ちっとくれェならもういいかなとも、思った。」
「アホか。」
アホじゃねェ、と反論するもののいつもの覇気がない。暫しの沈黙のあと、口をひらいた。
「あいつすげェ細かったし。食糧も金もねェから奪いにきたんだとよ。そりゃ俺らもあいつらも海賊だからな。こういうことはよくある話だけどよ。」
「てめェはちっせェ頭で眉毛みたいに考えすぎなんだよ。」
「っ!なんだとクソ藻!」

ばっと顔をあげて額をぶつける。いつものコックの顔が目の前にあった。口角を片方、にやりと持ち上げると何笑ってんだクソ野郎と言われた。
「よし、ヤるか。」
「はっ?てめェそんなつもりじゃねェって言っただろ!」
「さっきはな。今はヤりてェ。」

ぎゃあぎゃあと喚き散らす口を先ほどとはちがう深い口づけで黙らせる。そろりと迎え入れたコックの舌先が、あつい。同じ体温を分かち合ったその時、コックはふふっと、笑っているような気がした。





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2014.03.19 12:53 | SS | トラックバック(-) | コメント(0) |












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